Brexitが辞書に載るまでのカウントダウン 前編

ロンドンに向かった岡侑之介(YAMABUKI JOURNAL特派記者)氏による「Brexitが辞書に載るまでのカウントダウン」の前編を本日はお送りいたします。

先日、”新語・流行語大賞”が発表された。年間大賞には、「神ってる」が選ばれた。もし、イギリスで”新語・流行語大賞”があるとするならば、”Brexit(ブレグジット)”だろう。
この聞き慣れない英単語はどこの辞書にも載っていない。この単語が生まれたのは今年の夏前であろう。”Brexit”とは、”Britain(英国)”と”exit(退出)”を掛け合わせた新語である。今年の6月に英国で行われたEU(欧州連合)離脱の賛否を問う国民投票の結果は世界中を驚かせ、このような新たな単語を生み出した。

EU残留の立場だったキャメロン首相(当時)は辞任。新たに、EU残留を主張し、“鉄の女”の異名を持つサッチャー氏以来となる2人目の女性首相にテリーザ・メイ氏が就任した。また、EU離脱派の先頭に立って主張を繰り広げたボリス・ジョンソン氏が外務大臣に就任した。あれから半年が経った今、現地ではどのような変化があったのかを取材した。

                       

ブレグジットで揺れるイギリス。不安を抱える市民

ブレグジットの看板が掲げられたロンドン市内

英国の名門大学が連なる街である“ケンブリッジ”にて、大手工具用品店で勤務するロバート・ワトソン(仮名)さんは、生活面での変化について、「日常生活で、特に変化はない。実際に離脱してみないとわからない。」と語った。また、離脱に関してはどのような懸念があるのか、こう語った:「移民がいなくなれば、悪くはならないと思う。ただ、経済が悪くなるのは避けられない。」

イギリスの教育は世界一、でも学費も世界一

また、娘がケンブリッジ大学に通う市民は、大学の学費について指摘した:「娘の友達がオランダの大学に通っている。なぜなら、オランダの学費はイギリスに比べて、圧倒的に安いから。」
実はこれもEUに加盟しているからこそ可能なことなのだ。

英国は、世界最高峰の教育レベルを誇る大学など高等教育機関が数多い事でも知られている。ロンドンにも多く存在し、ケンブリッジとオックスフォードはあまりに有名である。ただ、教育レベルだけではなく、学費も世界最高峰であるのも事実なのだ。ただし、EU加盟国内であれば、経済的に大学進学が厳しい家庭でも、学費の安い加盟国の大学に進学できる。また、加盟国の大学であっても、取得した卒業資格はEU加盟国内であればどの国でも認められる共通資格となるのだ。当然、オランダで大学を卒業して英国で資格が認められて就職することは可能である。このシステムを利用する生徒は少なくない。また、そのほかにも多くの共通資格が存在する。運転免許や医師免許、弁護士資格もいい例である。

EUの離脱は今までの経済的恩恵を失うであろう

これらのシステムは経済発展にもつながった。今日も数多くの人、そして企業が、ヨーロッパ各国の往来や経済活動を活発に行えるのもEUに加盟しているからなのだ。
また、数多くの日系企業もこれらを駆使している。欧州での活動を展開している主な日系企業は、英国を拠点にして欧州各国で経済活動を行っている。日本経済とも無縁ではないことがわかる。

今後の動向に注目

前述の市民は、このような日常に直接関わることが離脱によってどうなるのかわからない、と不安を漏らしていた。また、メイ政権の交渉手腕にも注目したいと答えた。

※編集に関わるお知らせ: この記事は岡侑之介氏が平松氏に入稿したものを福田が体裁を整えた上で公開しております。

この記事は最終編集から一年以上経過しております。この記事に書かれた内容をご利用・実践される際は十分ご注意ください。

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